「心菜はきっと、また俺を好きになる」



───ドクンッ。


真剣なまなざしに、胸が震えた。



「好きだよ、心菜」



温かい光が差し込むこの部屋の、時間がとまった気がした。


ふたりの間を、光だけがゆっくりと流れる。


しばらく、ジッと見つめ合うあたしたち……。



「なーんて、プレッシャーかけすぎだよな。ごめんっ、ははっ」


「……」




無理して声を出して笑う彼の気持ちを想ったら、胸が痛くて張り裂けそうだった。



……覚えてなくて、ごめんなさい。


グッと噛みしめていた唇をゆっくり離す。



「あたしは……あなたのことをなんて呼んでましたか?」



こんな言葉を口に乗せたのは無意識だった。


今までは、どうしても知らない人という気持ちが大きすぎて名前なんて呼べなかった。


けれど、少しでも彼のことを知りたい……そんな想いが自然とこみ上げてきたんだ。