痛い...痛いよ...痛い、お母さん、お父さん...
「ん...」
ザワザワと騒がしい音で目が覚めた。慌てて腹部を抑える痛いっっ!そう思ったが直ぐに異変に気づく。
「痛く...な、い?」
服を捲る、ない。ないのだ、確かにあの男によって刺された傷跡が。
どうして?あれは悪い夢だったの?...いや、そんなはずない。だってあんな強烈な痛み、経験したのは初めてだった。
それを忘れるはずがない
ふと、目の前を見たあたりは暗くて夜のようだった
だがそれ以前にその光景に美恵子は目を見開いた目線を上げた先にさ月明かりに照らされた緑だった。
「の...はら?...え、ここどこよ」
そんな馬鹿な、私がいたのは学校で、例え救急車に運ばれて寝たきりだったとしても目の前に広がるのは病室の白か自分の部屋なはずなのに。
どうして、ここは、何────?
「...?」
ふと風に乗ってなんとも言えない不快な鉄の香りが鼻を掠める。
よくよくあたりを見渡すと少し離れたところにボロボロの旗、倒れる馬に人影がいくつもあった。
思わず前のめりになり手が動く、ふと服のような感覚が手を伝う。次の瞬間私は驚きのあまり叫んでいた。
「きゃぁあっ!!...なに、なんなのっ、ここ!!」
目の前には確かに人がいた。でもそれは息をしていなくて、血だらけで...
これは、死体っ────!!
腰が抜けてなんとか後ろへ後退る。
ここは何?なんなのっ、まるで戦争でもしたかのようにあちらこちらに人の死体が転がっている。
帰らないとっ早く、家に!!
「おい」