「優羽~?美羽~?朝ごはん食べないの?」

1階から母の声がした。きっと美羽の声は、母に似たのだろう。


「「はーい!」」
お互い返事をして食事に向かう。声が揃う辺り姉妹だなぁと感じる。

「お姉ちゃん、今日から学校だね!お姉ちゃんは、高校2年生、私は小学4年生。新学年で、新しい学校、頑張ろうね!」

突然の転校に文句を言わず、新しい学校に希望が持てるのは尊敬したいぐらいだ。
僕はもう、憂鬱で仕方ない。新しい学校に馴染めるのか、友達は出来るのか。

「そうだな。頑張ろうな。」

美羽にまで、心配かけたくない。そんな気持ちで僕は
笑顔で応えた。

リビングでは、エプロン姿で張り切っている母が、待っていた。

「遅いわよ~。ご飯冷めちゃうじゃない。」

そう言って、笑顔でパンを焼いてくれた。しかし、僕が何も言わないのは、僕が、気にくわないから、挨拶と一緒に謝った。

「お母さん。ごめん。おそくなった。おはよう。」

僕が、学校のことを心配しているのに気づいたのか、母は優しく話してくれた。

「ごめんね、優羽。中途半端な時期に、転校なんて、嫌だよね。お母さんも分かってる。でも、お父さんの会社の都合で仕方ないの。大人の都合で子どもに大変な思いさせちゃって、本当に申し訳ないよ。」

お母さんは、僕達の事を本当に大事に想ってくれている。だから心配はかけられない。

「学校の事は、大丈夫。今回は、授業の進み具合が心配だけど、上手くやるよ。私立だし、勉強しないと追いつかないと思うから。美羽と一緒に勉強するよ。心配しないで。何かあったらすぐ言うよ。ありがとう。お母さん。」

僕が、そう言うと安心したのか母に笑顔が戻った。僕がしっかりしなくてはならない。心の中で僕なりの決意を示した。

僕は、母と美羽の会話に耳を傾けながら、朝ごはん食べ終えた。