制服に付いた埃などは直ぐに払い落とされ、今度は椅子に座らせられた。



紅葉は、私の髪を丁寧にコームで梳かし、ヘアアイロンを温め始めたようだった。



紅葉は何時も凝った髪型にしてくれるが、だからといってバリエーションが少ない訳でもなく、今まで同じ髪型にされた事は数える程しかない。


今日はどんな髪型にしてくれるのだろう、と内心ワクワクして、大人しく待つことにした。






「できたーー!!」



数分経って、紅葉は嬉しそうにそう言った。


何時ものように折り畳みの鏡を渡してくる。



ここも紅葉らしく淡いピンクで纏まったデザインで、アクセントで淡い紫色のリボンが付いた、可愛い鏡だ。



「ねね、どう?今日はねぇ、チャイナ風にしてみたの!どう?どう?可愛い?」



髪は、丁度ハーフアップにする時纏めるような髪だけを使って、頭の横に小さめのお団子が2つ纏まっていた。


他の髪は下ろして綺麗なストレート、毛先は内側にクルンと丸まっている。



「うん、可愛い♡ 何時もありがとうね?」



ヘアーの出来は何時も素人とは思えない程綺麗で、ニコニコと笑顔にならざるを得ない。


ふっふーん、と紅葉はにんまりして道具を片付け始めていた。