それからの一週間は駆け抜けるように早く過ぎていった。
次の日学校に来れば、一番張り切っていたのは紅葉で、「今時古風とか言われるかもしれないけど、やっぱり私手書き好きだから、明日休みだし便箋一緒買い行こ!?」と会うなり言われた。
聞けば、ラブレターという訳ではないらしいが、急ぎでない用事だったり、文字の交わし合いなどに "上手くいって付き合えたら" 使いたいらしい。
「朔くん女子の人気の的だし、上手くいく確率なんて無いに等しいと思わなきゃダメなんだけどさあ…?やっぱりこう動くからには張り切らないとと思うの」
貴女も男子の人気の的ですよ、なんて言わなくても紅葉は充分自覚している筈だが、恋する乙女は悩み多いのだ。それでいい。
次の休みの日早くに駅前に行って何時間と掛けて選んだ便箋は、全体が淡いピンクで彩られており、角は丸く切り落としてある。更に所々に白い光が入れてあり、ごちゃごちゃし過ぎない、それでいて女の子の雰囲気を漂わせる、可愛いものだった。