「そんな驚くことないでしょうが!?」
「だって騒ぎ方がアイドルに向けるような感じだったじゃん?!紅葉いっつもそうだったし...」
「うーん、それは否めないけども、別にそういう騒ぎ方したら恋愛対象じゃないなんて誰が言ったと?」
「誰も言ってない、です、」
でも私がそう思ったのは、騒ぎ方の所為だけじゃなくって、
「それに、紅葉全然アタックするような素振り見せてなかったから」
もしかして私が知らないだけかもしれない。
''全然"というのは言わないでおくべきだったか。
「……だ…だって恥ずかしいしぃ…」
ほんのささやかな沈黙の後、紅葉が珍しく俯き加減に口を尖らせながら言った。
「んっと、紅葉ちゃん??それは照れてるね??ね?ね?」
「うーるーさーいーー!!」
紅葉が片手で私の背中をペシペシと叩く。
「わかったわかった、ごめんね拗ねないで?」
「……うぅ……特別許す。」
そっぽを向きながらボソボソと聞こえた。
もし紅葉に好きな人がいたならば、絶対アタックすると思ってはいたけど、思い返してみれば紅葉に好きな人がいるとは一度も聞いたことは無かった。
紅葉って、見かけによらずそういうの疎かったのか。
なんか少し安心したな。
紅葉はもうとてつもなくモテモテであるからに、男を払うのには馴れているであろう。
ただ男に、好きな人には自分から向かえないタイプだ。
かわいい。