「しーおね!!行っくよー!」


「あーはいはい、ちょっと待ってね」



流石に一週間ともなれば、この会話だけで体育館に行くことだと分かる。


急いでバッグに物を詰め、肩に掛けた。



「できたー?」


「うん、行こっか」



そう言うと、紅葉はニンマリと口角を上げて、嬉しそうに微笑みながら、手指を絡めてくる。



これも毎度のことだ。


バスケを見に行くだけで紅葉の笑顔と恋人つなぎが付いてくるなんて。


付き添いなどお安い御用だ。



体育館に着くと、また入り口に溜まる女子達が急に静寂を決めこんで、端に避けていく。



これは一週間経てども慣れない。


一生経っても慣れなさそうな予感。



それでも紅葉はそこに出来た道を嬉しそうにずんずん進んで行くので、私はそれに付いていくしかない。