「長谷川…ってあの長谷川か!?」
名前だけは耳にしたことがあった。
長谷川汐音。美人で、頭が良くて、人当たりもいい。正に完璧だと囁かれているのをよく噂に聞く。
「そうだよ、あの長谷川汐音。
その子しか居ないよ、ロングで茶色がかった髪、さっき真ん中にいた子なんて」
「でもよ、始めは居なかったよな?」
1つの疑問を朔にぶつける。
「あぁ、途中から来たよ、ちょうど遥樹がシュート決めるちょっと前くらいに」
そういえば、みんな急に静かになって動きも鈍くなってたもんな。
あれは長谷川のせいか。
「ま、遥樹は目を向けることもしてなかったけどね」
うっ、と思わず体を縮こめる。
始め見向きもしなかった癖に、一目見ただけで落ちるとか、どんな男だよ…