恐らく15分も経っていなかった。



急に女子の歓声が止んで、ダン、ダン、とボールをつく音だけが体育館に響いた。



俺は気にせずにゲームを続けた。



が、他のメンバーの動きが緩くなった。


この隙に、と、どんどんゴールへと近づいて行く。



ーーバシュッ…



自分でも驚く程綺麗にシュートが決まった。



バスケでこの瞬間が1番気持ちいい。


女子からも歓声が上がった。



煩い、そう思い女子の居る方を見た時、




…それは、今まで見たことがない顔で、他の女子の誰よりも凛とした佇まいでそこに居た。


その子は女子の一番前列、真ん中で佇んでいたのだ。



確か、女子で入口が一杯になっていた頃には居なかったはずだ。



何故だろうか、迷いもなく素直に心が惹かれていった。



自分でも分からないうちに、その子の事を見つめていた様だった。



きょとん、とされる顔にハッとして、俺は焦るようにコートを出ていった。



バスケなんかやってる場合じゃない。


もっと見ていたい、という気持ちに押されながらも、体育館の壁に体を預けた。



他のメンバーも、続々とコートから出てきて、俺と同じように壁に体を預けていく。





「やべぇ…」





不意に漏らした声は、体育館に響く声にかき消されていった。