「うん、初めて見た」
名前は知っていたけど、実際見るのは初めてだった。
「そっかぁ、汐音、そういうの疎いしね」
紅葉が少し苦笑いして言う。
「でもラッキーだったー!♡」
「何が?」
「本当は私、富谷くんがバスケやるってしか聞いてなかったんだよね。でもそれでもイケメンには変わりないし、やっぱ制服でバスケなんて貴重だし」
制服バスケ、なんか、紅葉が萌えるのも少しだけ分かった気がする。
ジャージでバスケをするのとはまた違ったものなのだろう。
「でも私の本命はサクくんなの!!ほら、あの富谷くんの味方してる」
「サク?」
聞いたことが無い名前だった。
「汐音、サクくんは知らないか…富谷くんが限界だったかな」
限界と言っても、私の中でイケメンで有名なのは富谷遥樹しか居ないはず……なのだが。