「え、えと、紅葉は激カワって…」


今更、「激カワ」とかギャルみたいな言葉を使って恥ずかしい、なんて。


それと、素直に可愛いとか言ったら絶対紅葉は。



「んもう!!汐音も可愛いよぉーー!!」



びゅん、と飛びついて、ウエスト辺りをギュッと抱き締められる。



やっぱり飛びついてきた。



更に、女子生徒が視界のの隅に寄ったのが分かった。



「あぁ、いけないいけない、私達百合だってまた誤解されちゃうね」



腕を解いて、恋人繋ぎに戻した。



………恋人繋ぎはそのままなんだ……



人が寄って出来上がった通路を紅葉に引っ張られるがまま歩いて行く。



体育館の廊下の境目…扉のレールのギリギリまで歩み寄る。



体育館でバスケをしていたのは男子が4人。


全員見たことがない顔だった。



「ふわぁあああ、かっこいい……♡」



紅葉が目をハートにして言う。



動きまわる男子の中で、ボールを長いことついているせいか、目を引かれている男子がいた。


だけど動きは素早いし、ずっとゴールの方を見続けているしで肝心の顔を見ることが出来ない。



「ねぇ、今ドリブルしてるのが富谷遥樹?」


「そう、、、って紅葉見たことないの?!富谷くん!!」