黙って引っ張られるがまま付いてきたのは良いものの、既に体育館の入口は女子で埋め尽くされていた。



「ねえ紅葉、やっぱり無理じゃない?人いっぱい過ぎるもの」


「いいからいいから、何のために汐音連れてきたと思ってんの?このためでしょ?」


「このため…って…」



さっぱり紅葉の意図が掴めない。



「まあいいからいいから!」



そう言いながら紅葉は自分の手を私の手の方へするりと伸ばして、恋人繋ぎを始めた。




…………恋人繋ぎ?!



「ふふっ、コレで行けるわよ♡」



意味深なウインクと笑顔を残して、そのままツカツカと人混みの方へ歩いていった。



すると。



ーースッ………



今まで視界を遮ってきた人達の頭がどんどん視界の端に移動していく。



……え、皆、どうしたの………?