ニヤッと口角を上げてそこにいたのは、今まさに頭の中にいた人。
「見間違いじゃない？
蒼井のことを考えてニヤニヤなんて……あ」
「………」
「………」
自分の言った言葉にピシリと固まる。
あれ？
今……私、なんて言った？
もしかして、自爆……した？
「え、俺のこと？」
予想外と驚く蒼井の言葉に、一気に顔に熱が集まる。
や、やってしまった！！
「あーもう……なに急に可愛いこと言ってくれてんの？俺のこと考えて笑ってたとか、俺最強じゃん」
なんて髪をグシャグシャしつつも、目を細めて、太陽のように笑う。
その表情に、収まったはずの心臓が、またトクトクと動きを速める。
「ち、ちがっ……
今のは言葉のあやで、そういうわけじゃ！！」
それが妙にくすぐったいのと、顔の熱を冷ましたくて、必死に否定しようとするけれど、
「嬉しすぎて、口緩みっぱなしだわ」
「………」
全然話聞いてない……
「ほんと無自覚、可愛いすぎ……
マジで、天使だ天使……」
「ちょっと蒼井？
大丈夫？」
顔を両手で覆ったまま、訳の分からないことをブツブツ言いだしたために、逆に冷静になれる自分がいる。
