「おーい、蒼井!!
イチャついてるところ悪いけど、始まるぞ!!」


い、イチャついてるって……

同じチームの人が呼びに来たみたいで、蒼井はゆっくり離れる。


「もう、時間か……
離れたくねーなぁ」


「ほらほら!
チームメイトの人、呼んでるから」


と、背中をグイグイと押せば、目を細めてくるっと振り返ると、名残惜しそうな表情のまま、私の頭をポンポンする。


「応援、よろしくな」


そう言って、そのままチームメイトの方へ歩いていく。


「ちょっ、莉世!!
超羨ましいんだけど!!」


慌てて歩優が駆け寄ってきたけど、私の視線は蒼井の後ろ姿1点。


やれやれ……


「莉世?」


私にばっかり素直じゃないとか、言うくせに、自分だってそうじゃない。


はーっと、ため息をつき、私は走り出した。


「ちょっ、莉世!?」



「蒼井!!!」


そしてそのまま、蒼井の背中に駆け寄った。