やばっ、気づかれた……!

慌てて逃げようとするも、


「莉世!!!」


大声で名前を呼ぶもんだから、逃げようにも逃げれない。


「きゃーーー!!!」


「蒼井くんーーーー!!!」


あーあ、私終わった……


蒼井のバカデカい声のせいで、周りは一層騒がしくなる。


どうしてこっちに来るかな……

ここに居るのがバレるのも嫌だったのに、わざわざ来るなんて。


「ほら、莉世!!
イケメン彼氏がお呼びだよ!」


「ちょっ、歩優!?」


ニヤニヤ顔で、後ろからトンっと背中を押されて、前のめりになる。


うわっ、転ぶ……っ


スローモーションで自分の体が倒れるのが分かった瞬間。


「つーかまえた〜」


ポスッと音を立てて、倒れ込んだ先に待っていたのは、広い胸板と、甘くて魅惑な香り。