「きゃーーー!!!
蒼井くん、かっこいい!!」


「こっち向いてえぇぇーーー!!!」


「…………」


なんだ、これ。

今の時間、蒼井はサッカーに出ているという歩優情報からグラウンドにやってきたのはいいものの……


見渡す限り、女子、女子、女子のオンパレード。

学校中の女子が集まってるんじゃないかってくらいの数に、若干引く私。


男子なんて、見たところ、ほとんどいやしない。


そりゃあ、こんなに女子がいたら、来ようにも来づらいよね……


しかもみーんな目をハートにさせて、蒼井の応援。


あーあ、他の男子に同情するわ、こんなの。

他にも出てる人はいるんだから、応援してあげたっていいのに。


冷めた目をする私を引っ張ったまま、キャーキャーと騒ぐ女子集団を押しのけ、グイグイと前に行く歩優。


「ちょっ、歩優!?
後ろでも見えるんだから、そんな前に行かなくても!!」


「いいから、いいから!!」



気づいた時には応援席の最前列。

周りの女子にギロっと睨まれたように気がしたけど、歩優はお構い無し。


あーあ、結局1番前まで来ちゃったし……

ここにいたら、絶対蒼井にバレそう……


「ほら、莉世!!
大好きな彼氏が頑張ってるよ!!」


なせが興奮した状態で蒼井を指さし、無言で試合を見る私の肩を、バシバシ叩いてくる歩優。


なにをそんなに興奮してるんだか……


てか、彼氏じゃない……