“ 俺を見て。
俺のことしか考えないで ”
直接言われたわけじゃないのに、まるでそう囁かれたみたいに、蒼井の声が頭の中で響いている気がする。
や、ヤバい……っ
完全に、蒼井のペースに呑まれちゃってる。
早く、どかなきゃ……
「莉世……」
そう思ってる間に、片手はぎゅっと繋がれたまま、蒼井は私に覆いかぶさってくる。
「っ!!」
目を細めてふっと微笑んだ蒼井は、私の顔をまっすぐ見据える。
「莉世、ふれてもいい?」
「っ……」
耳元で、そっと、甘く低く囁かれた言葉。
ああ、もう無理……っ
頭がクラクラしそう……
ドッドッドッと、心臓の音しか聞こえないくらい、
身体中の神経が、意識が、もう完全に、蒼井の方に向いていた。