「あーあ、まーた可愛い顔しちゃって。莉世の可愛い表情は俺だけのもんだから、誰にも見せたくなかったけど……今は不可抗力ってことで」


「っ……」


もはや言葉にならない私に再度満足そうに笑いかけると、そのままスタスタと教室を出ていく。


こ、このまま!?

てか、どこ行くつもり!?


「あ、蒼っ……」


「絶対離さねーよ?
莉世が足らなさすぎて、俺死にそうだから。
今だけは、莉世の時間。俺にちょーだい?」


「っ……」


下ろしてと言おうとする前に、被せるように告げられたこと。


死にそうって、なによ、それ……


ほんと、バカじゃないの……っ


廊下中から悲鳴が上がる中、蒼井はそれを全てスルーして、私に優しく微笑むと、そのまま歩いていった。