太陽がまた沈み、部屋を黒く染める。
静かに目を閉ざして、手で彼がいる事を確かめた。
「気にならないって言ったら嘘になるけど、知りたい訳でもなかったんだよ。知らなくてもそれでよかったんだよ」
「そっか」
その気持ちは本心だったけれど、少しだけ、ほんの少しだけ、彼の口から知りたかったと言うのも事実。我儘な事だ。
音もなく、彼が動く気配がした。かと思えば、ゆるく髪が引かれる感覚がした。
「?」
何をしているのか分からないけれど、ただ単に私の髪を撫でて遊ぶような仕草をしているだけのようだった。
そうやって間を持たせた後に、一つ息を吐く。
「――……どうだっていいんだよ。もう」
「え?」
「誰がどう言おうと、瀬戸さんが判断すればいい」
月乃ちゃんが言った事に関しても、他の誰かが言う事も自分は関与する気がないと示す。
「俺が言った事と周りが言った事、何が正しくて何が正しくないのか。瀬戸さんは強い女の子だからね、それが判断できるでしょ」
彼の言葉の意図が見えないけれど、買い被りすぎなのはよく分かる。
「そんな事ないよ」
私は強くなんかない。強く、正しくあろうとしているだけなのだ。