動揺と焦りと、それに照れだろうか。今まで見せなかった複雑な表情を携えて半ば私を睨みつけるような視線を寄越す。


「何でそんな事言えるんですか?私は可愛げのない態度だって沢山とりました。あろうことか貴女と仁菜ちゃんを比べすらして、どうせ貴女も上っ面の偽善者だと決めつけて……!」


そうやって、自分を責めるように言っているをどうやって咎める事が出来るのか。

簡単に嫌いだなんて、言ってしまえるのか。

簡単に言ってしまえるのなら、もう私は既に彼女の前から去っていただろう。


「だって月乃ちゃん、本当は正直な子だから。私の質問に答えて、この性格が嫌いだって言って、オープンキャンバスは興味なかったって謝って」

「そ、れは……!嫌われたってよかったからで……」

「うん、知ってる。でも、月乃ちゃんは悪者には成りきれないでしょう?」

「都合の良い解釈ですね」


一向に私の言葉を飲み込もうとしない彼女を可笑しく思う。

都合が良いと言うならそれでもいい。けれど


「どれだけツンケンして見せたって、肝心な所で可愛い顔して笑うんだもん。そう解釈しちゃうよ」

「!」

「――……それに、私は仁菜ちゃんじゃないもの。どれだけ比べられたって構わないよ」