「なら、私瀬戸さんの大学に行きます。……迷惑ですか?」
「う、ううん。迷惑じゃないし、それだったら一緒に回ったりも出来るけど」
自分の目的の大学があって来ていたのではないだろうか。
オープンキャンパスと言っても、開催される日程が他の大学と被っている事も多くは無いはずだ。
「あっ、瀬戸さんの大学申込み不要ですか?当日行けますか?」
「う、うん。模擬講義受けたいなら申込みいるけど、キャンバス内の見学なら当日行けるよ」
「ならよかったです。明日よろしくお願いします。連絡先貰っておいていいですか?また明日到着したら連絡しますので」
浮かんだ疑問は勢いに押しこめられ、言われるがままに互いの連絡先を交換する。
先から口を挟もうとしていた様子の彼が漸く口を開いて心配そうに問いかけてくる。
「……えぇっと、ほんとにいいの?無理しなくてもいいよ?」
「ううん!無理だなんてそんな事はないよ」
「ごめんね、妹の我が儘に付き合わせて。俺明日の日中バイトだから一緒には行けないんだけど」
「えっ?」
「いや、急に来るとそうなるでしょ」
バイトがあるとは知らなかった様子の月乃ちゃんを呆れ様子に宥める。
彼に一緒に行って欲しかったのだろうかと勘ぐるも、月乃ちゃんはコクリと頷く。
「それもそうか」
そうしてまた、リュックを背負い直して彼女は頭を下げた。
「では、また明日。私1人ですが、瀬戸さん、よろしくお願いしますね」