手持無沙汰になってしまう私は何となしに空を見上げてみる。
やはり周りが明るすぎると星なんて見えなくて黒ばかりが目に入った。
そうしてぼんやりとしていれば
「はぁ!?今?!」
普段以上の大きな声が視線を引き戻した。
何かトラブルでもあったのだろうかと心配になったのと、彼の口がまた大きく開いたのは、その声と同時だった。
「って言うか見つけた。丁度良かった」
芯の強そうなはっきりとした、女の子の声が聴こえたのだ。
その女の子はブレザーの学生服を着ていて、背には膨らんだリュックサックが背負われていた。
「何で急に……」
驚きに引きつった顔を浮かべながら、彼はその子に近づいていく。
誰だろうか。と疑問に思うも私はその場で突っ立って事の成り行きを見守っていた。
「忘れ物届けに来たついで。泊めて」
「それはありがたいけど前もって言ってくれればいいじゃん」
「テスト期間で忙しかったんだもん」
緩く結われた三つ編みが揺れる。
くりっとした真ん丸い目が、可愛らしい顔立ちを作りあげているのだろうか。
ふと、此方に気づいたのかその双眼が私を捉える。
「……ナナ、あの人は」
グイッと彼女は淵くんの服の裾を引っ張り問いかける。