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引っかかる出来事だった。と言えばそうなのだが、そんな事も忘れてしまう位に何故だか妙に忙しかった。

いや、独り忙しくしていただけにすぎなく、何故こんなに忙しいと思ってしまっているかも不明なのだ。


「……瀬戸さん大丈夫?何か最近疲れてない?」


彼とは遠くに出かける事はあまりないにせよ時間が合う時に、こうして一緒に晩御飯を食べに出かけたり事が度々ある。

七月に入ってすぐの事に心配そうな顔つきで問いかけられる。

私としては謎の忙しさは感じていたけれど、身だしなみを整える時に毎日鏡を見ていても顔色が悪いだとか、いつもと違うとは自分自身では思わなかった。

もちろん、体が重いだとか身体的な不調も大してない。


「疲れてはないんだけど、そう見えるかな?」

「う~~ん、何となくなんだけど」

「暑くなってきたからかな。でも、特にそう言う事もないから大丈夫だよ、ありがとう。夏バテしないようにしっかり食べないとね」


冗談めかして言いながらまた食事を再開する。


「それならいいんだけど、テスト休み取った高校生の代わりにバイト入り過ぎだったんじゃないの?」


彼が言うように高校生はテスト期間らしく、一週間、二週間休みを纏めて取っていた。代わりにその期間密集して入っていていつもより少し日数が多いだけでさほど日常には支障などない。


「そう言う淵くんもじゃない。それに私も同じように休み取ってるし」

「それは、そうだけど」


納得のいかない表情を浮かべながらも、それ以上言葉を続ける事はない。

私の事を気遣ってくれているのは分かっていたので、私も必要以上に何かを言うつもりはなかった。