言ってしまえば疾しいことはない為に、正直に謝ってくれているのだろう。

しかし、第三者からすれば大いに誤解を招く発言だ。

それは佐伯くんも十分理解しているのか弁明に入る。


「淵は悪くないから安心して、莉子ちゃん!騙し討ちで連れて行っただけで、淵は不可抗力だし、当日も誰とも連絡先は交換してない!無実!」


フォローなのか何なのかよく分からないけれど、立て続けにまたもや情報を並べる。

莉子ちゃんは勢いに圧倒されているのか「無実か……付き合いもあるもんね」などと呟いている。

佐伯くんは前回もそうだったが、とにかく変な勢いがあるのだ。


「そもそも、付き合ってた訳じゃないし、淵くんにも謝られてるから何も問題はないよ」

「お、おぉ……そっか!複雑そうな感じだったから引っかかってたんだけど、瀬戸ちゃんが言うなら大丈夫か!」


事態を収束させる為に発言すれば、今度こそ気持ちよく納得したようだった。

私は内心良かったと胸を撫で下ろしながら息を吐いた。

私が割って入っておきながら何だが、もし淵くんが佐伯くんに告白の話すらもしていたなら、また話はややこしくなっていただろう。

佐伯くんの性格からしてそれについて言及しそうなのに、何も言わないと言うことはどうやら事細かには話していないらしい。

私だってそうだけれど。


「場合によっては佐伯くんに制裁してたところだよ~~!!」

「莉子ちゃんは友達想いの女の子だな!俺そういう子好き~~」

「……」


京ちゃんにも同じような事言っていたなと思いだしながら、佐伯くんは佐伯くんで誤解を招くのでは。なんて。


「超かるーい!でもそう言う人楽~~」


そんな事は気にする必要もなく、あっけらかんと莉子ちゃんは返している。

佐伯くんの人柄がそうさせてしまうのだろうか。