ボケたことを考えて、ふと辺りを見渡す。
「佐伯くん1人?」
問い掛けながらも周りには誰もいないので答えは明確だ。
そしてそれは、特定の人物を指している事など佐伯くんには分かってしまうのだ。
「一人一人~~。淵ならバイトっつってさっさと帰ったからなーー。まあ、いつも常に一緒って訳じゃねぇしな」
聞いてはいない情報までも教えてくれる。
でもそうか、今日はバイトだったのか。と些細な情報すらも拾い上げてしまう。
「あ、そうだ佐伯くん。この間京ちゃんがごめんなさいって言ってたよ」
淵くんには伝えてたけれど私から直接佐伯くんには言えていなかったので今更ながら言えば、きちんと彼から伝わっていたのか「ああ!」と理解を示す。
それでも明快に笑いとばしてしまう。
「京ちゃん根は優しい子だよな!まぁ、俺は気にしてないし逆に俺が淵に怒られたくらいだからさ~~、俺からも京ちゃんに謝っといて」
「うん。分かった」
「謝りついでにもう一個!千花ちゃんに」
と、前置きをして、両の手の平を合わせた。
何だろうかと予想すらできずに次なる言葉を待てば佐伯くんはこう続けた。
「知らなかったとは言え、淵を合コンに連れ出して悪かった!」
「えっ……!」
「えぇぇぇ!?何それ!?」
それに過剰なほど反応したのは莉子ちゃんだ。