今日はその種目決め。
皆やる気満々なのに対し、私は気分が落ちていく。
「なに出る?」
佐多君にそう聞かれる。
前は変態男と内心、呼んでいたけれど、助けてもらってからはそう呼べなくなっていた。
「なにも出たくない」
運動苦手なんだよ。
「運動苦手なのか?じゃあ借り物競争とかに出れば?」
借り物競争か。
確かに真剣に借り物競争をする生徒はいないし、気は楽かもしれない。
「うん、そうするよ。佐多君は何出るの?」
運動できそうな顔してるから、真剣に走る系の競技なんだろうけど。
「俺は学年リレー出る」
やっぱり運動できるのか。
「そんな嫌そうな顔すんなよ」
そう佐多くんが笑いながら言う。
否定はしない。
だって嫌なのは本当だから。