それに引き換え、情けない私。

いつも、誰かに助けられて、守られて、背中を押してもらわないと歩き出せない。

「そうだな……アイツはヘタレかもしれないけど、惚れた相手には一途だから、橘さんが御園生のことを本気で好きなら、諦めてほしくないな」

息巻く菅谷さんを宥めながら、八木さんがいつもの優しい笑顔で言った。

大好きだった、あの笑顔で。

こんな風に、穏やかな気持ちで誰かのものになった八木さんを見られる日がくるなんて、まだまだ先だと思っていたけど。

大丈夫だ。

私の心の中には、もう御園生さんしかいない。

……御園生さんだけ。

「私、御園生さんに会いたいです。彼の顔が見たい……」

私の呟く言葉に、その場にいた全員がすこぶる嬉しげに笑顔を見せてくれた。

「アイツの動向が分かったら、教えてあげる」

小幡さんがVサインで「任せろ」と言ってくれる。

私は幸せ者だ。

一人だったらきっと諦めていた。

誰かを好きで居続けること。

そのために歩き出すこと。

それをみんなが教えてくれた。

こんな風に応援してくれる人達に出会えたのも、御園生さんのおかげ。





会いたい……。

御園生さんに会って伝えたい。

「ありがとう」って。

そして……

「大好きです」って。