ポタッ…………、


……?


頬に落ちてきた水滴に、目を開けてボンヤリと視界を見た。

次々に落ちてくるソレが、私の頬に、額に、唇に触れては流れていった。

唇から舌に伝うソレは、しょっぱくて。

でも、それは汗じゃなかった……。

私に触れていた御園生さんの身体が離れる。

ベッドの上に座り込み、ボンヤリとした表情で空を見つめていた。

「御園生……さん……?」


驚いて呟く私の前で。

彼は、泣いていた。



「舞夏……」

涙で濡れる頬を拭いもせず、御園生さんはポツリと呟いた。

「俺は、お前を抱けない」

キッパリと言われて、

その瞬間、心臓が引きちぎられたかと思うくらいの痛みが襲った。

「……同情でもいいって思ったけど」

同情…………?

「それでも、お前が手に入るなら、構わないって思ったけど」

なにを言ってるの?

「……結構キツイわ」

ベッドから立ち上がり、落ちていたグレーのシャツを着たあとそのシャツで顔を拭う。

彼の一挙一動を視界の端に映しながらも、私はなにも言えず、動くことも出来なかった。