もうおとなりさんの部屋に上がることはない。
そう思ったのは束の間だったーー。
「おとなりさんいる? いる?」
ドンドンドンドン!
勢いよくおとなりさんちの玄関のドアを叩く。
部屋に泊めてもらって数日後。
世間は大晦日も終わり、年が明けて1月1日の昼間。
「うるせーな! 近所迷惑って言葉知らないのかよ!」
そう言いながら、ドアを開けてくれた、おとなりさん。グレイのスエットを着て、寝癖がちょっとだけついている。
「ご、ごめんね。そんな事より聞いて!」
「聞きたくないから。帰れ」
おとなりさんはドアを閉めてしまった。
「えー? お願い話聞いてよ」
ドンドン! 何度かドアを叩いた後、おとなりさんはドアを開けてくれた。