「楓くんの匂いだ」
優しい柔軟剤のいい匂いがベッドからして、心地よくて眠くなってしまいそう。ふかふかして寝心地もいい。
すると、ゴロゴロしているわたしの元に楓くんが戻ってきた。
「お待たせしました……って、先輩何してるんですか」
ベッドで寝転ぶわたしを見て、楓くんが驚いた顔でこちらを見ていた。
「へ……あ、つい寝転んじゃった」
わたしがキョトンとした顔でそう答えると、楓くんから盛大なため息が送られてきた。
お盆をテーブルに置いて、わたしのほうに近づいてきた。
「……お願いだからそんな無防備な姿見せないでください」
一瞬、楓くんの余裕がなさそうな表情が見えた。
「楓くん?」
「あー……もう。ほんとなんで危機感ないんですか」
頭をガシガシかいて、わたしのほうとは反対のほうを向いてしまった。