「雛乃先輩にそう言ってもらえるだけで嬉しいですよ」
「そ、そっか。その人とうまくいくといいね」
ここで、会話は途切れてしまい、気づいたら楓くんの家の前まで来ていた。
楓くんが玄関の鍵を開けて、中に入れてくれた。
「どうぞ。先に俺の部屋行っててください。飲み物とってからいくんで」
「わ、わかった。お、お邪魔します」
楓くんのおウチはとても大きくて、広い。
絶対お金持ち。
いつ来ても、緊張してしまう。
階段を上がって、廊下を歩くと右側に楓くんの部屋がある。
ガチャッと扉を開けると、前に勉強を教えてもらったときと同じで綺麗な部屋。
白と黒のモノトーンのシンプルな部屋。本棚には難しそうな分厚い本ばかり並んでいる。
他には大きなガラスのテーブルと、ベッドがひとつあるくらい。
いつも、この大きなテーブルで床に座って勉強を教えてもらっている。