再び2人で横に並び歩きながら、そんな会話をする。
楓くんと付き合いは長いけど、彼女いるの?とか聞くのは何気に初めてかもしれない。
「……誰にでも優しいわけじゃないんですけどね」
「え?」
小声で話されてしまったので、何を言ったのかいまいち聞き取れなかった。
「彼女はいないですよ。好きな人ならいますけど」
「えぇ、好きな人いるの!?」
好きな人いるんだ!!
だったら、その人が楓くんの彼女になるのは時間の問題だね!
「いますよ。ずっと俺の片想いですけど」
「告白しないの?」
「しないですよ。その人、俺のことそういう対象で見てないんで」
「えぇ、そうなの?もったいないなぁ、楓くんこんなに素敵なのに!」
わたしがそう言うと、楓くんは少し切なげに笑った。