そして、わたしをさらに追い込むように、
楓くんが、はっきり言った。
「……ずっと、
雛乃先輩のことが好きだったんですよ」
今日、いちばん心臓の音がドッと激しく動いた。
うそ……だ。
心の中では、そんな声が漏れた。
だって、楓くんは一度だってわたしにそんなことを言ってきたことはない。
正直、自分が恋愛対象として見られているとは思っていなくて。
先輩と後輩っていう関係は、何年も変わっていなくて、それが崩れることは今までなかったはずなのに……。
わたしにとって、楓くんは仲のいい後輩で、
楓くんにとっても、わたしはただの先輩くらいしか見ていないと思っていた。
だけど、そう思っていたのはわたしだけだったということを今この瞬間、証明されてしまった。
「だ、だって、楓くん好きな人いるって……」
「いますよ。それが雛乃先輩ですから。
ずっと、中学の時から今まで気持ちが変わったことは一度だってないです」