2人で横に並んで、ただ座る沈黙の時間。



今でこそ、楓くんとはこんなに仲がいいけれど、その頃は楓くんとは全く仲がよくなかったし、後輩の子で、ましてや男の子なんてどうやって接したらいいのか、わからなくて。


だけど、先輩であるわたしが何か会話をしなくちゃいけない……と思って。



何より、沈黙っていう重い空気を取っ払いたくてわたしがとった行動。



「雛乃先輩、いきなり俺のメガネ取ったの覚えてます?」


「……あ、そういえばそんなことあった」



ずっと下ばかり向いていて、顔も隠れていたから、どんな子なのか気になって、そんなことをしてしまったような記憶がある。


興味本位だったのかな。



ついでに、どんな顔をしてるのか気になって、たまたま持っていたピンで楓くんの前髪をとめた記憶もある。