「さっきの話に戻すんですけど。俺と雛乃先輩が初めて図書委員で一緒に残った日。あの日から始まったんです」
そこから、少し昔の話が始まった。
わたしと楓くんが初めて図書委員で残った日。
中学の時の図書委員の当番は2人。
お昼休みと、放課後、本の貸し出しを受け付けたりするのが仕事。
当番はランダムで、1年生から3年生まで、
週間で当番が割り振られるシステム。
そして、たまたまいちばん最初に当番のペアになったのが楓くんだった。
放課後、滅多に誰も利用しない図書室で、
初めて楓くんと2人っきりになった時。
……すごく気まずかったのを今でも覚えていたりする。
誰か利用する人がいれば、気まずさは紛れるかと思ったけど、
テスト期間とかでもない時に、図書室を利用する生徒はほとんどいない。