なぜか、2人とも黙り込んでしまい、
わたしの目線は窓の外に向いたまま。


……のはずだった。



いきなり、楓くんの顔がひょこっとわたしの顔を覗き込んできた。


「っ!!」


びっくりして、思わず身体を少し後ろに引いた。



すると、楓くんはハハッと笑いながら、
「懐かしいなー。こうやって先輩と横に並んで座るの。雛乃先輩は、俺と初めて話した時のこと覚えてます?」



……楓くんと初めて話した時…か。



「うん、覚えてるよ。わたしが中2で、楓くんが中1の時だったよね?」


わたしが初めて楓くんと話したのは図書委員の当番が一緒になった時かな。


その時、初めて話した記憶がある。



そういえば、その頃の楓くんといえば、
今とは全然違う印象だったんだよなぁ。


中学の時の楓くんは、前髪が目にかかるくらい長くて、顔が隠れていた。


おまけに、分厚い黒ぶちのメガネをしていて、下を向いてばかりの子だった。