楓くんと会話をしながら廊下を歩き、
階段を上って、3階までたどりついた。



さらに奥に進み、一直線の廊下を歩いて、いちばん奥の部屋についた。


少し上を見上げると、黒のプレートに、白の文字で"図書室"と書かれていた。



「休みの日はいつも開いてますよね」



目の前の扉をガラッと開けると、楓くんの言う通り、鍵はかかっていなくて開いた。


わたしたちの中学校の図書室は休みの日でも、土曜日だけは生徒が利用できるように開いている。


扉を開けた瞬間、本の匂いがした。



「わぁぁ、すごい懐かしい……!」


中に入ると、思わずそんな声が漏れた。



本棚の並びとか、貸し出しの場所とか、
返却ボックスとか全然変わってない。


唯一、変わったところといえば、
わたしがいた頃にはなかった、新刊コーナーと書かれた棚が置いてあるくらい。


あとは、ほとんど変わっていなかった。