そんな会話をしていると、目的地に着いた。

電車もバスも使わず、着いた場所。



「え……ここって」


目の前の建物を見て、懐かしくなった。


わたしの数年前の記憶が間違っていなければ、ここは……。



「卒業してから来てないですか?」


「う、うん。そういえば、卒業してから一度も来てないかな」



そう……。


連れて来られた場所は、わたしが通っていた中学校。

わたしと楓くんが卒業した場所だ。



「せっかくだから中入りません?」

「え、先生に連絡とかはしてるの?」


「してないですよ。けど卒業生だから入っても大丈夫じゃないですか?」


「えぇ」


待ってよ、楓くんってしっかりしてるくせに、こういうところ楽観的すぎじゃない?



「なんか言われたら俺がちゃんと対処するんで大丈夫ですよ」


こうして、開いていた門から、中に足を踏み入れた。