たった二秒しか間がなかったぞ河崎紫穂。

俺がわざわざ時間を割いて告白してやったのになんだそりゃ。

河崎紫穂は颯爽と職員へと向かおうとしている。
少し歩いてまた俺の方を振り返った。

「あなたはまだ若いんだから私みたいなオバサン相手になんてしない方がいいわよ?」

くすりと笑ってまた向き直して歩いて行った。

オバサンって…。





そんなこと知ってるし……。

「隆久失恋おめでとー!!!!」

歓喜の色のした声とどすどすと雄々しい足音を振り撒いてあいつがやってきた。

「うるっせーよマキロス!!!!」

マキロスとは俺のつるんでいるダチ。
名字が槙田なのとアニメオタクなのにちなんだあだ名である。

「まあまあ…お前もさ、三次元の女なんか辞めてさ、二次元に生きようぜ…。新作のギャルゲー買ったんだけど…。」

俺はそんな話はお構いなしに教室に向かう。
「良太今日カラオケ行くぞ!俺とマキロスとお前で!」

「んあー。」

良太は見た目黒髪でさわやかな好青年。
まあ実態は色々ヤンチャやってるけど。

「あ、勿論年齢制限ナシだぞ?俺らまだ学生だしな?」

「早く行くぞ!!!」