「それにしても麻莉奈ってよく夜神に言い寄られてるよね？一年生の時は違うクラスで、全く話したこともないって言ってたけど、それって本当なの？」



移動教室へ向かう最中、歩きながら瑠衣があたしに問いかけてきた。



「初対面なのに失礼だよね。二年で同じクラスになった日から今も変わらずあんな感じだもん。」


と、あたしは不満を隠さずに言うと、視線をやや下げながら廊下をスタスタと歩いて行く。




そう。



夜神とは話したこともなかった。



だけどなぜか夜神は、高二になった初日からあたしに何かと声をかけてくる！



その声のかけ方といえば、


“好き” “可愛い” “付き合おう” 等々…。



あげればきりがない！




少女漫画では決して外せない誰もが憧れるフレーズなのに、


それなのにあの男はいつだって “好き” の大安売りをひっきりなしに誰彼構わずしている。



あたしにとってその行為は軽率すぎて信じられなかった…。




「女の子なら誰でも良いのよ、きっと。さっきも夜神のファンの女の子に好きって言ってたし。あたしにはついでに言ってるだけなのよ。」


「う～ん、本当にそうなのかな？……でも確かに、夜神の恋愛遍歴っていうの？噂だとちょっとだらしがないみたいだから、多少あんな感じになっても仕方ないのかもね。」


と、瑠衣は苦笑いをしてなぜか夜神をフォローしている。