「あ、あのね、夜神!」



「……………。」



「えっ…と、…さ、さっきは智国くんから助けてくれて本当に有難う。」



「……………。」



「そ、それで……、」



「……………。」



「あたし……、夜神に……っ言いたいことがあって!」



と、緊張で震える声を夜神に届くように懸命にふり絞る!




しかし。



その瞬間、パッと何かに弾かれたように夜神は急に方向転換すると、自分の自転車を取りに行ってしまう…。



え…?


な、何??



あたしは話の途中だったため、夜神の予想外の行動についていけず、ただ呆然と目で追うことしかできない。



そして夜神は自転車を転がすと、あたしの脇をスッと通り過ぎようとした。




「ーーッ待って!夜神っ!!」




振り向きざまに夜神を呼び止める。



無我夢中だった。



ここで、もしもこのまま夜神を見送ってしまったら、



もう二度と彼はあたしを見てはくれない。




そんな予感がしたから…。




その思いが漸く通じたのか、夜神はピタッと歩みを止めてくれた。




「あたし、夜神にどうしても話したいことがあるの…!!」



「……………。」



「今日…夜7時に、荒北橋の土手に来て…!」