「オイ!どうなんだよ、麻莉奈!!」



問い質されている間、あたしは胸に湧き上がってくる感情を正確に捉えようとしていた。



そして、意を決して口を開いた。



「智国くんの、言う通りかもしれない…。」


「なっ!?やっぱりお前、俺を騙し」


「あたしね、恋に恋してた!今やっとわかったの!」



そうだ。


好きとかそれ以前の問題だった。



「智国くんを想っていたことに嘘はない。最初、告白してきてくれた時は本当に嬉しかった。」


告白される前から気になっていたし、顔もタイプだったし、優しそうで真面目そうな人だなと思ってた。



「ただ、あたしが子供だっただけ。だからつまらない女だと思われても仕方ないよ。本当のことだもの。」


「は!?恋に恋してたって、なんだそれ!?意味わからねえんだけど!?」


「あたし! “漫画みたいな恋を智国くんとただやりたかっただけ” なの。………だから、目的があったというのなら、それがあたしの求めていたことです。」



その当時は私なりに智国くんのことを想ってた。



好きだった。



だけどね……、


それはとても淡くて、浅はかな気持ちだったのかもしれない……。




「智国くんには、色々迷惑かけてごめんなさい。……それじゃあ。」


と、今度こそ立ち去ろうと思い、智国くんの手を振りほどこうとした時。


ギリっと智国くんの掴む手の力が急に強くなった!



「痛っ……。智国くん、痛いから放してくれる?!」


「ふざけんなよ、お前ッ!!なにが “漫画みたいな恋” だよ!笑わせんなッ!!」


「だ、だから、いま謝っ、」


「それで俺がダメだったから今度は夜神ってわけか!?あぁ!!?」


「だから、それは……!」


「夜神もこんな女を追っかけててふざけた野郎だとは思ってたけど、お前も大概だな!!?この俺をコケにしやがって!!」