その日の放課後。


あたしは夜神を待ち伏せするために2年の自転車置き場に居た。



確か夜神は自転車通学のはず。



ここで待っていれば会えるよね?



とはいえ、待ち続けて結構時間が経つのに一向に彼は現れない。


大抵の生徒はもう下校していて、自転車の数も大分減っていた。




おかしいな…。


夜神も部活入ってないからすぐ下校すると思っていたのに。



……もしかして、また誰かに呼び出されたりしているのかな?


今頃、女の子に告白されてたりして……。




ズキズキと心が痛くて胸に手を当てたその時だった!




「麻莉奈?」


「え……?」



名前を呼ばれて振り返る!



と、そこには智国くんの姿があった…!




「とも…くにくん……。」



なんで智国くんがこんな所に?!


途端に、親睦会の日に聞いてしまった会話を思い出してしまう…!




『あんなつまんねえ女、こっちからノシつけてくれてやるな!』


『ハッ?!お前ら馬鹿かよ?最終的にヤるのが目的に決まってんじゃん!』


『おしとやかで大人しいタイプかと思ったら超絶痛い妄想女でさぁ。少女漫画に憧れてて俺にそれ強要してくんの!』


『俺の前ではか弱そうにしてたくせに!騙されて恥かいた被害者は、この俺だし!!』





「ーーっ。」


思い出したら身体が強張ってその場で固まってしまう!



すると彼は半ば呆れ顔であたしに言った。


「あのさ、何のつもり?」


「………え?な、なんのこと?」