「あ、田畑さん待って！」


と、夜神に引き止められるとあたしは思わず立ち止まった。



「な、なに……？」



警戒をするあたしに向かって夜神は、あたしの目線まで屈むと、


「花火、一緒にやろうな？」


と微笑んで囁いた！




！！？




「あれ？だんだん顔が赤く、」


「なってない！！！行こっ！瑠衣！」


あたしはふいっと夜神から顔を背けると、今度こそ夜神から立ち去った。



からかわれているのは分かっている！


分かっているはず……！


なのに、いちいち夜神に反応して冷静に対応できていない自分に腹立たしさにも似た感情を抱くのであった…。








それからニ時間後。


ようやく片付けも終わると、あたしは一人でトイレに行っていた。


そしてトイレからみんなが待つ花火の場所へと向かう。



随分暗くなってきたな。


日没までもうすぐか。



そんなことを考えながら歩いていると、どこからか話し声が聞こえてきた。


それは男子数名の会話だった。