“尻軽い” って言われた……。


って、それってどういう意味！？



あまりにも予想外と意味不明な言葉に、あたしは意表を突かれてしまって、智国くんに問いかけることもできずにいる。


ただ目を大きくして智国くんを見ることしかできない！



そんな彼はこちらをチラッと見ると、また手元へと視線を戻してカチャカチャとお皿を洗う。




何？



何が言いたいの…？



また訪れた沈黙のなか、水の流れる音が二人の間を遮断していた。




「………あ、あの、智く」


か細い声で彼に再び話しかけようとしたその時だった。



「おーい、杉木！ちょっとこっち来いよー！！」


と、智国くんの友達があたしのそれを払いのけた。



「おう。今行く。」


そう返事をした智国くんは、洗い終えたお皿を持つと友達の輪の中へと消えていってしまった……。








「あ！麻莉奈！やっと帰ってきた！」


しばらくして自分のクラスの場所へ戻ると瑠衣があたしに気づいて手を振ってこっちに走ってきた。


「あれからどこに行ってたの？なかなか戻ってこないから麻莉奈のこと探しに行こうとしてたんだよ？」



「ご、ごめん。ちょっと、水を飲みに…ね。」


と、あたしは言葉を濁してしまう。



「ならいいんだけど。…って、それはそうと……、」


と、瑠衣が声の調子を抑えてコソッとあたしに訊いてきた。


「さっきクラスの子から聞いたんだけど、ここに…B組の人達がいるみたいなの。麻莉奈、誰かから聞いた？」