「…………………。」



「ーーっ!」



そこにいた姿にあたしは息をのんだ。




智国くん…!



向こうもまさかあたしだと思っていなかったみたいで、少し驚いた顔をしながらこちらを見ていた。



洗い物をしに来たのか、手にはお皿が数枚ある。




「…………………。」


「…………………。」



お互い一言も発せず、足を止めてただ見つめ合う…。



何か、



何か言わなきゃっ。



じゃないと、気まずすぎる…!



でも、言葉が喉に張りついて出てこない……!!



だって、 “あの日” 以来こうして向かい合うなんてことなかったから…。




お互いが避けていたせいか、日常で顔を合わせることなんてほとんどなかった。



だから、智国くんとは三ヶ月以来…。




でも、このままじゃ駄目だ!


気まずいけど、一歩踏み出さないと……!



あたしは意を決して智国くんに話しかけた。




「ひ、久し…ぶり……。げ、元気だった?」


「まあ……。普通だけど。」


「そっか……。」



それで会話が途切れてしまうっ!



もともと、そんなに社交的ではない智国くんだったけど、やっぱりどこかよそよそしい。


できれば普通に会話するくらいまでには戻りたいけど……。



そう思って俯いていると、智国くんが汚れたお皿を置いて蛇口をひねる音がした。




その時だった。




「お前が、そんなに尻軽い女とは知らなかったよ。」


「……………え?」



今、智国くんなんて言ったの……?