「……別に、そうは思ってないけれど、夜神のことはよく知らないから。だからいい加減に見えてしまうっていうのもあって…。」


「あ!じゃあ、もし夜神の好きが本気なら麻莉奈も少しは考えられるのかな?ね!麻莉奈!」



うっ!


何?!



なんでそんなキラキラした目で見てくるの…?!



「あ!!よ、予鈴!!瑠衣、予鈴鳴ってるから、早く教室に向かおうよ!!」



ずるいと分かってはいたけれど、あたしは瑠衣の視線を逃れると歩く速度を上げた!


「わかったよー。じゃあ急ごうか!」


と、瑠衣はそれ以上追求してこなかったけれど、どことなく嬉しそうだった。




夜神が本気なら……?



そんな考えが一瞬頭の中をよぎる。



でもさっきの夜神の態度を思い出すと、絶対あり得ないのだと感じてかぶりを振る!


高鳴った塵のような想いをその場に置き去りにして、あたしは教室へと駆け込んだのだった。








それから一週間後。


終業式のこの日は授業もなく、正午前に解散になった。



「では、皆さん夏休みを楽しんで下さい!HRは以上です、解散!」



担任の先生がそう言うと、急にクラスが騒がしくなってそれぞれ帰り支度や部活動の準備を始めていた。