「なにしてるの……?」


わたしは必死で、その小さな声は聞こえなかった。


「ちょっ……あぶないっっ!!」


大きな声がして、ようやく気付いた。


2メートルくらいのフェンスの1番上まできて、恐る恐る振り向くと、男子生徒が走ってきてわたしの足を引っ張った。


「はなしてっ!!おねがい、いかせて!!」


今までで1番大きな声だったんじゃないかな。


わたしは必死に抵抗した。


「絶対離さないからっ!!絶対にっっ!!」


その男子もわたしと同じくらい必死そうだ。


強い力でわたしの体を下へ下へと動かす。