「まぁ、俺も母さんに好かれたくて仕事頑張ってた時期あったし」

「え、そうなの?」

「俺が誇れることなんて他にねぇからな。
碧翔って普段アホっぽいから、少し真面目にやったらきっとその子にも届くよ。お前のかっこよさ」

「いや俺どんだけアホっぽいんだよ」

「はは、アホっぽいよ。
俺の子供だからな。

俺のこういうとこ、碧翔にしか遺伝しなかったな」

「いや俺だけかよ!」

「まぁ俺にはそういう騒がしさはなかったけど。
そういうとこは母さん似だよな」


・・・なんか、俺両親の残念な部分引き継いだ感じじゃね?それ。
じゃあ兄貴は2人のいいところだけもらったって感じするわ…


「でもそういう方がギャップが出ていいよ。
大丈夫。お前には役者の血が流れてるんだ。
みっともないことにはならないよ。
ちゃんと練習すればな」


父さんはそう言って、また練習に戻った。
俺はしばらくその様子を見ていたけど

いつも完璧な演技する父さんですら、こんだけ練習してるんだ。
俺も、…いや
俺はもっともっと練習しないとだめだよな…