咲久はいい子の返事をするが、シャーペンを持つ気配はない。



白石、この子、伸びる気ないけど教えるの?



そんなことを思いつつも、咲久のテスト範囲を見て数学の教科書を広げる。




「咲久、この法則わかる?」



「…何これ初めて見た」




咲久は驚いて目を見開いた。




「お兄ちゃん、無駄だよ?咲久、授業中起きてたためしないから」




あ、もう無理だ。よく見たら教科書も新品同然だ。




「咲久、また寝てたの?」



「眠いんだもん。お姉ちゃんもよく寝てるって栞里ちゃんに言われてたじゃん…」



「私はノートとるし、家帰っても勉強してるじゃない。



咲久はずっと寝てるじゃん」



「だって眠いんだもんっ!」



「寝すぎなのよ!」



似たような2人が、ギャーギャーと喚く。



この2人は俺には手をつけられねぇよ…。




すると、未央が咲くの頭を叩いた。